また画面中央(右から3番目)に描かれる金髪を靡かせた女同士による愛の争い(※これは愛の和解とする説もある)の姿は神話の一場面のような独特の雰囲気を醸し出しており、観る者の目を奪う。
またそれとは別に、一部の研究者たちからはルネサンス期ヴェネツィア派の確立者ジョヴァンニ・ベッリーニや同派最大の巨人ティツィアーノの影響が指摘されている本作は同時代やバロック期に流行した愛を称える賛歌的な作品とする説も唱えられている。
何にせよ本作は小作ながら、セザンヌの個人的な記憶(画家は若かりし頃、よく友人らと水浴を楽しんでいた)や愛への考察・傾向が根幹となっていると推測することができる作品であり、同時期の画家の極めて重要な作品と位置づけることができる。
なお本画題を描いた作品が本作以外に2点確認されており、その中の1点はかつてセザンヌの最大の理解者であったカミーユ・ピサロが所蔵していたことが知られている。
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