そしてこの2人の夫人と呼応するかのように右側へはミストラル(南仏特有の北風)避けとして藁で覆われた糸杉の若木が2本配されているほか、遠景にはもう一組の婦人らが配されている。
本作で最も注目すべき点は総合主義の典型的表現手法であるクロワゾニスム(輪郭線で囲んだ平坦な色面によって対象を構成する表現描写)による様式的アプローチと、日本趣味からの影響を感じさせる非遠近的表現にある。
茂み、柵、人物、糸杉、緩やかに曲がる小道、そして画面右上の池など構成要素のほぼ全てが明瞭な輪郭線と大胆な色彩を用いた色面によって平面的に描写されているが、さらに本作では遠近法を用いない複数の視点(本作の近景と遠景では視点が大きく異なる)を導入することによって装飾性が極端化されている。
また画面右上の池には新印象主義的な点描表現の痕跡も確認することができ、本作の様式的近代性をより強調している点も特に注目すべきである。
PR