1953年、当時無名だった仏女優ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)がカンヌ映画祭に初めて登場した。米俳優カーク・ダグラス(Kirk Douglas)に髪を触られ、ビキニ姿でゆったりとビーチでくつろぐ姿は、世間に大きなセンセーションを巻き起こした。
それから14年後の1967年5月、すでに世界的なセックスシンボルとなっていたバルドーは、カンヌに再び登場。閉幕式で特別招待客のスイス人俳優ミシェル・シモン(Michel Simon)を称えるスピーチを行う役を任じられた。
ところが、会場に入るバルドーを一目見ようと群衆が殺到し、カメラマンらの間でも小競り合いが勃発。バルドーに道をあけるため、警察が出動する事態となった。
■ボディーガード15人
米歌手マドンナ(Madonna)は、キャリア絶頂期の1991年、自身のドキュメンタリー作品『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ(In Bed with Madonna Truth or Dare)』を引っさげてカンヌを訪れた。
5つ星の「ホテル・ドゥ・キャップ・エデン・ロック(Hotel du Cap-Eden-Roc)にこもっていたマドンナだったが、日課となっていた15キロのジョギングでは、アンディーブ岬(Cap d'Antibes)の曲がりくねった道路の交通渋滞を引き起こした。ジョギングにはボディーガード15人が同行していた。
試写会当日の夜には、スターを一目見ようと少なくとも1万人の群衆が会場前に押し寄せ、その間を縫うようにしてマドンナの乗ったリムジンが進んだ。
マドンナはレッドカーペットにピンクのガウン姿で登場。歩みを止めて後ろを振り返り、ガウンの下に着用していたジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)がデザインのオフホワイトの円錐形のブラジャーがあらわになった瞬間、会場の熱気は頂点に達した。
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