19世紀印象主義時代に活躍した女流画家ベルト・モリゾの愛らしい一枚『飾り鉢で遊ぶ子供たち』。
パリのヴィルジュスト通りに面していたモリゾの家で制作された本作はモリゾ最愛の夫ウジェーヌ・マネとの間に生まれた愛娘ジュリーと、ヴィルジュストの家の管理人の娘であるマルト・ジヴォーダンをモデルに、二人の子供が飾り鉢で遊ぶ姿を描いた作品である。
画面左部分に描かれる愛娘ジュリーは二本の桴のような棒を左手で握り締めながら腕を振り上げ、飾り鉢の中心に視線を向けている。一方、まだ幼いマルト・ジヴォーダンは身体の小ささから飾り鉢に凭れ掛かるように体重をかけ、手を鉢の中へと伸ばしながら(鉢の中で泳ぐ)金魚(又は赤い小魚)を弄り遊んでいる。
この中国製の陶器の飾り鉢は義兄となる印象派の創始者エドゥアール・マネからの贈り物であることが知られており、モリゾは2年ほど前(1884年)に制作した『人形を抱く少女』にも植木を入れた形で登場させている。