印象派の巨匠クロード・モネが手がけた連作群の代表的作例のひとつ『ルーアン大聖堂、扉口とアルバーヌの鐘塔、充満する陽光』。
1895年に画商デュラン=リュエルの画廊で開催された、モネが≪ルーアン大聖堂≫を描いた全33作品の連作群の中から選定された20作品で構成される展覧会に出品された作品の中のひとつである本作は、聖堂という自然的造形要素の無い人工(建築物)物を画題とした珍しい作品であるが、この≪ルーアン大聖堂≫の作品群は、画家が対象(聖堂)に当たる陽光と、それが作り出す陰影の時間経過による変化と効果にのみ集中して取り組む為に、戸外(聖堂前)にカンバス(画布)を複数枚並べ、太陽の動きと共に画家自身が移動しながら制作されたことが知られている。
≪ルーアン大聖堂≫の連作は西正面、裏手の庭と二つの角度(観点)から制作された作品に二分され、本作は西正面からのアングルで描かれた作品の中の1点である。